イタリアのイースター(復活祭)ってどんな感じ?

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「イタリアチーム」の平井(ひらい)がイタリアよりお届けします。

日本ではなぜかほとんど話題に上りませんが、イタリアでクリスマスと同じくらい大事なイベントといえばイースター。

クリスマスがイエス・キリストが誕生した日なら、イースターは十字架にかけられて死んだはずのイエスが3日後に復活した日。

宗教的にはクリスマスよりも大事な日だと言われています。

神父の不祥事が相次ぎ、若者のキリスト教離れも深刻化していてカトリックの世界も厳しい局面を迎えていますが…

総本山ともいえるイタリア、田舎に行けば行くほど今も深く信仰が根付いています。

今回は、そんなイースター祭りについてご紹介していきます!

カーニバル

イースターは毎年同じ日に行われるわけではなく、移動祭日で2018年は4月1日。

なんと西暦325年より“春分を過ぎた最初の満月の後の日曜日”と決められています。

日本の歴史で考えると、巨大古墳で知られる仁徳天皇の時代ですからその歴史の深さを思わせます。

ただこの一大イベント、当日にイエスの復活を祝福するだけではありません。

厳密には2月のカーニバルが終わったすぐ後から始まります。

皆が知ってるカーニバルとはちょっと違う

この“カーニバル”というのもよく耳にはしますね。

思い浮かぶのは、露出度の高い美しいお姉さんたちが激しく踊りながらパレードする“リオのカーニバル”。

他にも、ミステリアスな仮面が印象的な、ヴェネチアのカーニバルなどといったお祭り騒ぎみたいなものだけで、いったい何なのかはいまいちピン来ないでしょう。

イタリア語では“カルネバーレ”と呼ばれ他の多くのヨーロッパ言語同様、ラテン語起源で“肉を断つ”といった意味を持っています。

キリスト教では、イエスが復活するまでの約40日間。

お祭り事や派手な生活、贅沢な食事などを慎み、敬虔な気持ちでイースターを迎えるための準備期間“四旬節(しじゅんせつ)”となっています。

しっかり食べて飲んで楽しむ

カーニバルは言ってみればこの“ダイエット期間”に入る前に、しっかり食べて飲んで楽しんでおこう!という意味合いがあるのです。

カーニバルの起源を厳密にたどると、キリスト教が興るよりずいぶん昔にまで遡ることになり、今持つ意味合いとは異なるのですが…

現在のキリスト教ではこのような位置づけになっています。

というわけで、イースターはこのカーニバルが終わると同時に始まると考えられているのです。

実際に40日間肉を断って極貧の生活を送っている人にはまだ出会ったことはありませんが(笑)

イースターの一週間前になると大きなミサも始まり、みんな少しソワソワし始めます。

最後の晩餐!?

イースターは日曜日で、その週の木曜日はかの有名な“最後の晩餐”が行われた日。

金曜日はイエスが十字架にかけられて亡くなった日。

どちらも大きなミサが行われます。

そして前日の土曜日は、イエスの復活に思いを馳せながら真夜中にミサが行われ、日が変わるその瞬間、復活の瞬間をみんなで祝うことになります。

ここまではイースターの宗教的な意味合いについてでしたが、実際イタリア人はどのようにイースターをすごしているのでしょうか?

お祝い事=ひたすら食べる

お祝い事=ひたすら食べまくるがイタリア流(笑)

ですからイースターも同じ。

“食べる”がメインで“しゃべる”がそこについて来ます。

イースターのお祝い料理をいただくのは昼食と決まっているので、マンマはそれに向けてフル稼働。

12時頃になると家族だけでなく親戚、友人などが続々と集まり始めます。

私も今年はパートナーの実家に招いていただいたのですが、総勢17人。

話題が尽きない

とにかくしゃべる、しゃべる!

昼食が終わる4時頃まで、ひたすら大声でしゃべり続けていました。

中にイギリスの方も一人いたのですが彼と二人で「ほんと、いつもいつもうるさいね、イタリア人は」と苦笑い。

実際イタリア語が分からない人にはケンカしているようにも見えますよね。

ほんとに言い合いになっている時もあるのですが(笑)

それも含めて会話を楽しむのがイタリア人です。

欠かせない仔羊料理

気になるお食事は、イタリアは地方色が豊かなので地方によって様々ですが、たいてい欠かせないのが仔羊料理

ユダヤ教では仔羊は神への捧げものであったことから、それがキリスト教にも受け継がれたのだとか。

特に私が住むサルデーニャは羊のパラダイスで、島民の2倍も3倍もいると言われているぐらいですから、仔羊料理なしにはイースターは始まりません

今年はそこに子ヤギの肉も加わり、シンプルに炭火焼きでいただきました。

生後1ヵ月ほどのかわいい仔羊を想像するとなんともかわいそうでもありますが、臭みもまったくなく、柔らかくてコクのあるサルデーニャの仔羊はとてもおいしいんですよ!

愛と平和を象徴するハトがモチーフ

そしてもう一つ全国版なのが“コロンバ(鳩)”というハトの形をした大きな菓子パンみたいなもの。

形以外はクリスマスにいただくパネットーネとよく似ています。

それもそのはず!

ミラノのパネットーネを生産する会社が、クリスマス時期以外にも器材を活用する方法がないかと、1930年代にパネットーネの生地を使い、愛と平和を象徴するハトの形にしてイースターのお菓子として売り出し始めたそうです。

あまりロマンチックな話ではありませんが。。。

その後コロンバは一気に全国版となり、今ではイースターの1か月ほど前になるとスーパーやバール、パン屋さんなど至るところに山積みされています。

日持ちもするので、各家庭数個ずつストックしてイースターに備えることになります。

卵チョコレート

さらにもう一つ、特に子供たちが楽しみにしているのが“卵チョコレート”

高さ20~30㎝ほどの卵型のチョコレートは中が空洞になっていて、いろいろなおまけが入っています。

子供たちは、おじいちゃん、おばあちゃん、親戚、知り合いなどからたくさんの卵をもらうので、まさに至福の時。

食事の後に卵を受け取ると、包みを開けてその大きな卵をテーブルに思いっきり叩きつけ、まずはおまけをチェック!

私の息子はうれしさ余って頭でかち割っていました(笑)

この日ばかりはチョコレートも食べ放題です。

恋人へのサプライズとしても!

今では、“卵”のバリエーションもとても豊富になりました。

2㎝ほどの小さなものから子供の背丈ほどもある大きなもの、有名サッカーチームのものからキャラクターものまで!

大人用には映画のチケットがおまけとして入っているようなものまであります。

特別な人に贈りたい時は、パティシエの手作り卵もいいかも。

きれいにデコレーションされた卵の中に好きなおまけを入れてもらうこともできるので、恋人へのサプライズとしても活用できちゃいます。

さいごに

春の訪れとともにやってくるイースター。

お店やスーパーも華やかになり、そんな時期の観光も楽しいと思いますが…

イースター当日や翌日のイースターマンデーは、たいていのお店が閉まってしまうので注意してくださいね。

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