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留学してみつけたポーランドの魅力!街歩き好きを唸らすクラクフ・カジミエシュ地区

楽しそうな4人の女性
ポーランド

「ポーランドチーム」の三井(みつい)がポーランドよりお届けします。

かつてポーランド王国の首都として栄華を極めたクラクフ。

第二次世界大戦による破壊を免れたクラクフは、中央ヨーロッパの文化・経済の中心都市として君臨しました。

その面影を今なお強く残し、1978年には「クラクフ歴史地区」として最初の世界遺産のうちの一つに選ばれましたね。

今回は、そんなポーランドの「クラクフ・カジミエシュ地区」についてご紹介します!

カジミエシュ地区はクラクフの最旬スポット!

世界遺産としてのクラクフ歴史地区は、次の3つの部分から構成されます。

①中世から続く旧市街地

②ヴァヴェル城一帯のヴァヴェル・ヒル

③かつてのユダヤ人街として知られるカジミエシュ地区

今回は、そんなクラクフ歴史地区の一つであるカジミエシュ地区の魅力を、留学生の視点からまとめてみたいと思います!

クラフトのメインスクエア

クラクフは中世から現存する中では、ヨーロッパ最大のメインスクエアを持っています。

メインスクエアとは、「中央広場」と言えば分かりやすいかと思います。

2013年に観光ガイドブック出版社のロンリープラネットは、世界一美しい広場に認定した場所があります。

それが、クラクフのメインスクエアです。

クラフクのオススメスポット

クラクフに来たら、メインスクエアにある織物会館や聖マリア大聖堂はもちろん行ってくださいね。

また、旧市街の南にそびえるヴァヴェル城も見逃せませんね。

その他に、とあるスポットが、近年、クラクフの絶対見逃せないスポットとして注目されています。

それは、カジミエシュ地区です。

いや、ポーランド在住の私に言わせればクラクフの最旬スポットといえます!

カジミエシュ地区

カジミエシュ地区を最旬と言わしめる理由はズバリその独特な「お洒落さ」

クラクフの旧市街は、中世からの歴史を感じさせる荘厳な美しさが魅力です。

カジミエシュ地区は、例えて言うなら裏原宿のような魅力があります。

小説を片手にコーヒーを楽しみたくなるようなカフェ。

こぢんまりとしながらもオリジナルのアクセサリーや小物を販売するアトリエ。

レトロで可愛い憧れのヴィンテージ古着が並ぶセレクトショップ。

お酒を片手に若者や地元の人で賑わうパブなどなど♪

夜も楽しみたい方へ

でも、ここにはザ・観光客向け、みたいなお土産屋さんやレストランはほとんどありません

だから、ここでしか買えないお土産探しを楽しめるし、比較的落ち着いた雰囲気のレストランやカフェで食事を楽しめます。

そして、なんといってもカジミエシュ地区の夜は若者で非常に賑わいます

特に、お酒が飲めるお店に夜の人が多く集まります。

昼間、歴史的建造物や博物館を楽しんだ人がみんなこの辺りに流れてくるのかもしれませんね(笑)

活気あるナイトライフを味わいたいならピッタリの場所と言えます。

最新スポット

最近のカジミエシュ地区は、オシャレでフレッシュで旬な場所になりつつあります。

しかし、カジミエシュ地区で忘れてはならないのは、ここが旧ユダヤ人地区であるということ。

新しいカフェができたり、アーティストが集まるようになったり、イノベーションが進むこの地区の現在のあり様には、その歴史も大きく関連しています。

では、次にカジミエシュ地区の簡単な歴史をご紹介していきましょう。

カジミエシュ地区の歴史

カジミエシュ地区はクラクフの旧市街の南東に位置し、メインスクエアから歩いて15分ほどのところにあります。

クラクフは、もともとヴァヴェル城(バベル城)周辺から徐々に都市を拡大していきました。

そして、1335年にカジミエシュ3世がヴィスワ川の対岸に新しい街を作りました。

(この頃のヴィスワ川は現在のカジミエシュ地区の北側を流れていました)

影響力のある町

カジミエシュ3世は、当時ヨーロッパ広域で様々な理由から、迫害されていたユダヤ人たちに対して寛容な方針を取っていました。

そのため、ポーランドには多くのユダヤ人が集まったのです。

特にこの新しい街には、徐々にユダヤ人が増えていきました。

そして、中世にはカジミエシュ地区は商業の町として繁栄しました。

その結果、ポーランドで最も影響力のある町の一つになりました。

ユダヤ人迫害

第二次世界大戦前まで、他の地域に比べるとユダヤ人迫害は歴史的に緩やかでした。

したがって、ユダヤ人たちは独特の文化を育み、豊かな生活を送ることができました。

しかし、ヒトラー率いるナチ党がお隣ドイツで政権を握ってから、ユダヤ人迫害の魔の手が徐々に迫ってきました。

1941年にユダヤ人たちはカジミエシュ地区の南にあるポドグージェ地区のゲットー(=ユダヤ人居住地区)に強制的に追いやられ、労働収容所で強制労働させられました。

そして、ゲットーが解体される1943年までに、過労死、不当な殺害、絶滅収容所への「移送」などにより、戦前に6万人以上いたユダヤ人はわずか3~5000人ほどになってしまいました。

生き残った人々のうちの大部分は映画「シンドラーのリスト」で知られるオスカー・シンドラーによって救われた人々です。

非常に簡潔に書きましたが、これが実際にカジミエシュ地区に住んでいたユダヤ人たちに起きた事件なのです。

一般にホロコースという出来事です。

これにより、カジミエシュ地区のユダヤ人は激減してしましました。

共産主義

そして戦後、ポーランドは共産主義の時代に突入します。

カジミエシュ地区でかつてのような豊かなユダヤ文化が復興することはありませんでした。

なぜなら、ユダヤ人たちの多くがイスラエルへの移住を望んだからです。

経済の停滞も相まって、カジミエシュ地区は衰退の一途をたどります。

しかし、1989年の共産主義時代の終わり、1993年のスティーブン・スピルバーグ監督の映画「シンドラーのリスト」の公開により、徐々にカジミエシュ地区への関心が高まります

それとともに、ユダヤ料理のレストランができたり、ユダヤ人たちが移住してきたり、ユダヤ文化の復調が見られました。

アーティストたちが集まる

2000年代に入ってからは、アーティスト達がカジミエシュ地区に集まるようになりました。

このようなアーティストというのは、その場所にインスピレーションがわくような魅力があり、かつ土地代の安いところに集まります。

そのアーティストたちは、現在はカジミエシュ地区を牽引する存在となっています。

かつてソ連統治下にあった東ベルリンの現在のアーティスティックな雰囲気に近いかもしれません。

東京で例えるなら、高円寺のような感じです。

かつて繁栄して、そして衰退したカジミエシュ地区。

ここにはアーティストを惹きつける不思議な魅力があるのかもしれません。

アーティスティックな街

現在のカジミエシュ地区は、長い歴史を持ったユダヤ文化と、アーティストや若者たちによる新しいお洒落な文化が複合し、まさに二つの顔を持つ場所です。

そして、このような街の持つ二面性こそがカジミエシュ地区の魅力であり、ポーランドの魅力だと私は思っています。

ポーランドはヨーロッパの中では光と影で言うなら影、正と負なら負の部分の歴史を抱えてきた国です。

そのような歴史が隠されるのではなく、街と一緒に今も生き続けているのです。

実は、こういう部分を直に体験したいと思ったのが、私がポーランドを留学先に選んだ一番の理由だったりします。

長くなりましたが、歴史を知れば知るほどカジミエシュ地区の街歩きが楽しくなることは間違いありません!

街歩きにオススメ!メインストリート・ユジェファ通り

街歩き好きに全力でオススメするのは、カジミエシュ地区のメインストリートであるユジェファ通りです。

歩くだけなら10分程度で済んでしまいますが、ここは楽しみ方によっては何時間いても飽きません!

ストリートアートを楽しむ!

まず、この通りを歩いて目につくのはたくさんのストリートアートです。

もともと、カジミエシュ地区では大小様々なストリートアートが描かれています。

それらの持つメッセージは、ユダヤ人たちのアイデンティティの象徴、平和への願い、都市の再生への希望など様々。

特に、この通りではアーティストたちによる店のファサードの装飾としてのアートも多く見られます。

どの絵もとっても可愛いので写真撮影にはピッタリですよ!

インスタ映え重視の方は要チェックです。

I am happy again

ちなみに、路地を一本入るとメッセージ性のあるアートが多くなります

一番有名なのは”I am happy again” と描かれたストリートアートです。

ジーン・ケリーの「雨に唄えば」のワンシーンを通して、第二次世界大戦とその後の共産主義時代の恐怖から都市が回復してきていることを表すメッセージになっています。

こういうストリートアートって日本だと落書きだとみなされがちですが、都市の歴史を物語る絵が街のあちこちにあるってなんか素敵です。

ショッピングを楽しむ!

ユジェファ通りでは、ウィンドウショッピングもオススメです。

アンティークの雑貨を取り扱うお店。

個性的な古着が所狭しと並ぶお店。

アトリエを備えた店内でオリジナルのアクセサリーを売るお店。

いろんなお店があって飽きません!

ポーランドのちょっと変わったお土産探しにもよし、ここでしか買えない自分へのご褒美を選ぶにもよし。

値段が少し張るものもありますが、日本のアンティーク雑貨のお店で買うよりは断然お手頃です。

個性的なお店で宝探しはいかがでしょうか?

美味しいものをいただく!

そして、忘れてはならないのが、カジミエシュ地区のカフェやパブです。

カジミエシュ地区には、古い建物をリノベーションしたカフェやバーが立ち並びます。

Singer(ジンゲル)では古いミシン台をテーブルに使っていて、そのお洒落度の高さから地元客だけでなく観光客たちにも大人気です。

ショッピングに疲れたら、カフェでポーランド名物のセルニック(チーズケーキ)やシャルロトカ(アップルパイ)とコーヒーで一息。

オコチムティニエツといったメーカーのポーランドビールをいただくのも最高です。

ポーランド人はビールをアルコールと認識していないので、皆ジュース感覚です。

天気の良い日にテラス席でビールなんてのは日常の風景ですよ(笑)

ユダヤ料理

カジミエシュ地区を歩くなら、必ず目にするのはユダヤ文化に関係する建物やモチーフです。

シナゴーグやヘブライ語で書かれた看板、正三角形を二つ重ねたようなダビデの星をあちこちで目にすることができます。

ユダヤ料理が食べられるお店もあるので、ゆっくり歴史を感じるのもカジミエシュ地区の楽しみ方の一つです。

シナゴーク

カジミエシュ地区の中でもジューイッシュ・スクエアと呼ばれる場所には、いくつかのシナゴーグがあります。

シナゴーグとは、ユダヤ教の会堂のことで集まって祈祷する場所です。

現在は記念碑のみになってしまっている場所もあります。

しかし、最古のスタラ・シナゴーグは博物館となっていたり、レム・シナゴーグではユダヤ人墓地を見学することができます。

日本ではなかなか見る機会のない文化と接することができます。

行く価値あり!

入場にはお金が必要になるところもありますが、シナゴーグにはどこか一つは入っていただいて、教会との違いを見てみると面白いと思います。

近くにガリシア・ユダヤ人博物館もあるので、ユダヤ人の歴史を知ってから訪れると良いかもしれません。

ちなみに、場所によりますが男性がユダヤ人関連の施設に入る時、キッパーという帽子をかぶることを求められる場合があります。

私はあの薄い帽子が何故落ちて来ないのか不思議に思っていました。

その謎はぜひ現地で確かめてみてください!

シンドラーのリスト

このシナゴーグ周辺には、連日観光客が溢れます。

というのも、カジミエシュ地区は映画「シンドラーのリスト」のロケ地のひとつだからです。

撮影に使われた場所や、スピルバーグ監督が訪れたレストランなどに観光客がわんさか集まっていいます。

巨匠スピルバーグ監督の世界的な知名度の高さがうかがえますね。

復興のきっかけ

歴史の説明の部分で、この映画がカジミエシュ地区の復興のきっかけとなったと書きました。

そのため、「シンドラーのリスト」を見ずしてここに来ることはオススメしません。

「シンドラーのリスト」は、完全な歴史映画ではないため脚色された部分も多々あり、すべてが正しいとは言いません。

ですが、クラクフのユダヤ人たちが第二次世界大戦中にどういう運命を辿ったかを映像を通して知ることができます。

実際の撮影もこのクラクフで行われたので、映画を見てから訪れれば、映画のワンシーンを追体験することもできるかもしれません◎

ポドグージェ地区

もし、映画のロケ地めぐりやユダヤ人の歴史に興味があれば、さらに南側にあるポドグージェ地区もおすすめです。

ユダヤ人たちをゲットーに閉じこめるための壁や、強制労働させられた場所が現在でも残っています。

クラクス山という人工の丘の近くには、「シンドラーのリスト」撮影に使われたセットが老朽化しつつも残っています。

この山は見晴らしが良くて気持ちが良い割に観光客はほとんどいないので、映画に興味がなくても行く価値があります

カジミエシュ名物・ザピエカンカ

そして日本人なら誰しも気になるのがその土地のならではの食べ物ですよね!

カジミエシュ地区にももちろんあります。

その名もザピエカンカ!

簡単に説明すると長~いピザパンです。

街歩きでおなかが空いたら最適です!

パンにチーズやマッシュルーム、ハムやトマトなんかがのっていることが多いです。

お手頃なのにボリューミィー

マッシュルームとチーズだけのスタンダードなものなら、5ズロチ(150円くらい)でいただけます。

トッピングにはダブルチーズ、フライドオニオン、チキン、コーンなど様々。

お店によってはハワイアン、メキシカン、というような名前で販売しています。

トッピング盛り盛りのものでも12ズロチ(360円くらい)なので、胃袋の容量に自信のある人は食べ比べてみるのも良いかもしれません。

とてもボリューミーなので、私なんかは一つ食べるのでも精一杯ですが…(笑)

女性にはハーフサイズを取り扱うお店もあるので安心です!

また、ザピエカンカは今やポーランド中で食べることができます

しかし、クラクフ人はカジミエシュ地区で食べることに意味があると言います。

ザピエカンカのおすすめのお店①

カジミエシュのノヴィ広場にある、旧ケシャル(ユダヤのお肉屋さん)の建物を利用して、ザピエカンカのお店が密集している場所です。

5~6店舗の中から好きなフレーバーを選ぶことができ、注文してから作るので出来立ての熱々を提供してくれます。

その分時間もかかり、週末は大行列になります(笑)

ザピエカンカのおすすめのお店②

二つ目は、ポーランド人にとってのザピエカンカは日本人にとってのラーメンみたいなものです。

深夜にお酒を飲んだ後の腹ごしらえとして食べるイメージです。

そのため、パブがたくさんあって飲み屋街としての一面を持つカジミエシュ地区では、ザピエカンカが欠かせないのです。

この画像のように、円形状の建物にぐるっとザピエカンカのお店が並んでいます。

日曜日にはここで蚤の市も開かれ、より一層活気が増します。

ピエロギなどのポーランド名物でお腹を満たすのも良いですが、折角カジミエシュ地区に来たのならザピエカンカ片手に街歩きがオススメです!

さいごに

このカジミエシュ地区には一言で語れない魅力があります。

特に、留学生にとっては、興味深い歴史、素敵なカフェ、可愛い雑貨、美味しくて安い食べ物など、ここを訪れる理由が山ほどあります。

かくいう私ももう何回訪れたか分かりません(笑)

留学生流のカジミエシュ地区の楽しみ方としては、カフェでレポートを仕上げて、自分へのご褒美探しにアクセサリーを探したり、学校帰りに友人たちとビールを飲みに来て、ザピエカンカを頬張ったり…!

旧市街に比べて安く飲み食いできるお店が多いのもこの地区の特徴なので、学生たちの格好の夜遊びスポットでもあります。

もはやクラクフ流の留学生スタイルには欠かせない場所ですね!

私が留学して見つけた、ポーランドの魅力が少しは伝わっていると嬉しいです。

街歩きにピッタリのお洒落スポット、クラクフ・カジミエシュ地区ですが、その2つの顔はこの地区の持つ魅力そのものです。

悲劇と栄光の歴史を持つポーランドを味わうことのできるこのカジミエシュ地区に、ぜひ一度訪れてみてください!

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